緊張する方を選ぶ

Wellulu 編集部プロデューサー

堂上 研

「天日干し経営」とウェルビーイング

先日、博報堂を退社してスポーツの世界でビジネスを展開する同僚とご飯をご一緒させていただいた。そこで、Jリーグ第5代チェアマンの村井満さんの書いた「天日干し経営」(東洋経済新聞社:2023年)の本をご紹介いただいた。村井さんがJリーグチェアマンになって、数々の改革をニュースで見ていたのでとても興味深かった。

今日、息子のサッカーの試合が雨で中止になったので、一気に「天日干し経営」の本を読んだ。村井さんの考えに共感しかなかった。村井さんのJリーグチェアマンでの取り組みは、まさに僕自身が目指すウェルビーイングな社会と経営の真髄が書かれていた。

「魚と組織は天日にさらすと日持ちが良くなる」

この話は、まさに透明性の話だ。僕がミライの事業室のオフィシャルページにウェルビーイングのトピックで寄稿した文章とも似ている。その文章をここでも紹介させていただく。

生活者の日常「生きる」のデータをつなぎ合わせ、一人ひとりの「生きる」がより輝く社会へ。そんなBetter Co-Beingな社会をつくっていくために、3つの行動指針が重要になってくることも考えさせられた。

1: ポジティブ(前向き)に考え、行動すること
2: 透明性をもって、オープンでいること
3: 相手を敬い、相手の気持ちを考えること

まずは、今日から私自身が、ウェルビーイングな状態になって、まわりもウェルビーイングに巻き込める生活を送ろうと思う。そうすることで、ウェルビーイングの総量が増えていき、Co-Beingをつくっていけると信じている。

多様化の時代における、生活者一人ひとりの『主観的ウェルビーイング』の重要性。 | ミライの事業室 (mirai-biz.jp)

村井さんはちがう言葉をつかっていたが、Jリーグの大概念である「リスペクト」にも共感しかなかった。ウェルビーイングな生活を追求していたときに僕は自己紹介で、必ず「Open」「Respect」の単語を入れるようにしている。

まずは、自分の意志を伝え、自然体の自分の考えを伝えるようにする。そうすると、相手も「実は。。。」と言ってくれることが多い。その前提で、相手をリスペクトしていることが大切なのだ。村井さんの本の中にも、「実は。。。」と語ってもらうようにして本音で語ることを意識していたと言う。

「天日干し」は、家族でも、会社でも、クラブチームでも、あらゆるコミュニティで大切な考えだ。分断と孤独を招いたコロナによって、もう一度見直したい考えだ。天日干しが、自分自身を強くしてくれるし、そして、よりよい方向へ導いてくれるのだろう。

僕も、いろいろな選択肢の中で「緊張するほう」を選び、まだまだ挑戦し続けようと思う。コンフォートゾーンから抜け出さない限り、自身の成長が止まってしまう。

村井さんがチェアマンに就任される少し前、Jリーグのデジタル化とグローバル化への戦略を一緒に考えるきっかけをいただいた。当時、味の素スタジアムで試合後に、日本のサッカーの未来について熱く語ったことを思い出しながら読ませていただいた。

チームスポーツと仲間と。

僕が高校1年生のときに、「Jリーグ」が発足した。サッカー部だった僕は、Jリーグのロゴの入った横断幕を部屋に飾っていた。友だちが家に遊びに来たら、そこにサインをしてもらった。(なんで、そんなことをしたのか覚えていない。けれども、なんとなく友だちのことばを綴りたかったのだろう)

Jリーグは、ファンのことを「サポーター」と呼んだ。2002年のロンドンオリンピック・パラリンピックでは、ボランティアのことを「ゲームメーカー」と呼んだ。まさに、スポーツができる環境や応援できる環境は、支えてくれる人たちがいるから、という考えが根付いている。

スポーツの中でも、チームスポーツが好きだ。個々人の力も重要だが、お互いがお互いを支えあうチームスポーツが楽しい。僕はサッカーが好きだったらからこそ、サッカーびいきになってしまうが、昨日のラグビーW杯の「日本vsアルゼンチン」戦も観ていてめちゃくちゃ感動を与えてもらった。バスケットボールもバレーボールも楽しい。卓球やテニスもダブルスの方が楽しい。

チームスポーツの先に、仲間といっしょに過ごす時間が感動を生むのだろう。プレイヤーだけではなく、監督や審判、ファン(サポーター)や、スタッフ、家族などいろいろな人の想いがひとつになって、勝利を目指す。そこにリスペクトがあるからこそ、お互いの失敗やミスをサポートしあうところがチームスポーツの良いところだと思う。

「天日干し経営」は、「チーム経営」という考えとも通じるものがある。経営において、カリスマ的なファウンダーや社長がいるのは強い経営の中でも必要だとは思う。けれども、これからの時代においては、自分の弱さや苦手なこともすべてオープンにしつつ、まわりの人たちに支えてもらいながら、密室で行うのではなく、格好をつけるのではなく、お互いがお互いを認め合いながら経営をしていくことが求められるのだろう。

「これは、自分は違うと思います。」と言いあえるチームは、強いチームになるのだろう。一度、Welluluで森保監督のことを追いかけさせていただいたときに、「選手に言いすぎないことが、日本のチームを強くする」とおっしゃっていた。これも経営者や監督、リーダーが指導しすぎるのではなく、自分たちで判断できる余白を残しておくことが、ひとりひとりの「主体性」を導き出しているのだ。

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政治も、学校も、会社も、家族も、スポーツチームも、友だち同士も、いっしょに何かを共にする仲間と共に、お互いの信頼関係の中、本音で語れるときに、ひとつのチームになって、より強いチームができあがるように感じた。

いつか、村井さんにWelluluでインタビューをさせていただきたい。恩返しに向けた次の行動とウェルビーイングな社会形成について語ってみたい。素敵な本を遺してくれてありがとうございます。

 

堂上 研 Wellulu 編集部プロデューサー

1999年に博報堂へ入社後、新規事業開発におけるビジネスデザインディレクターや経団連タスクフォース委員、Better Co-Beingプロジェクトファウンダーなどを歴任。2023年、Wellulu立ち上げに伴い編集部プロデューサーに就任。

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