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海外と日本のマットレス事情!ウレタンマットレスが進化している【Limne】

忙しい現代人にとって、睡眠は心身をリセットする大切な時間。その鍵を握るのが、自分に合ったマットレス選びです。今回は、日本と海外の寝具文化の違いや、進化を遂げたウレタンマットレスの魅力、理想的な寝姿勢の実現、さらに睡眠を通じたオン・オフの切り替えについて、Limne(リムネ)の代表取締役 合谷さんにお話を伺いました。

合谷 賢幸さん

株式会社LIMNE 代表取締役社長

場企業で総合家具のECブランドの最年少部長になったが体調を崩したことをきっかけに理想のマットレスを追求したいと思うようになり、退職。株式会社LIMNEを立ち上げ、睡眠学会前理事で医師と共に「眠りに本当に良いマットレスとは」という問いに立ち向かっている。

目次

寝具と家具に対する欧米と日本の文化の違い

──早速ですが、日本のマットレス事情というところを教えていただけますか?

合谷さん:日本ではいまだに「ポケットコイルマットレスが正解」みたいなイメージが強いと感じます。

──なるほど、ポケットコイルマットレスが支持されてきたのには何か理由や背景があるのでしょうか?

合谷さん:あくまで私の意見ではあるのですが、日本ってもともと畳の上に布団を敷く文化ですよね。そのため、硬めの寝心地が好まれる傾向にあるのかなと思っていて。もちろん、コイルを使用したマットレスにも様々な種類があるものの、比較的硬いものが多かったり、耐久性が高かったりといった点で日本では支持されてきたのかなと思っています。

──布団文化ですか。では、海外でのマットレス事情はどうなのでしょうか?

合谷さん:ヨーロッパでは約6割がウレタン製のノンコイルマットレスとも言われています。

──ヨーロッパだともともとベッドにマットレスという文化だとは思いますが、ウレタンのものが支持されているのはなぜなのでしょうか?

合谷さん:環境への配慮といった視点もあるのかなと個人的には思っています。ウレタンは電磁波を発生させにくいですし、あとは面で支えるため体圧分散性能に優れているのも選ばれている理由なのかなと。ただアメリカではポケットコイルマットレスが好まれていますね。

──地域で好まれるものが違っておもしろいですね。やはり文化的な背景が影響することが多いのでしょうか?

合谷さん:そうですね。日本と比較して、欧米では家具(寝具も含む)の買い替えスパンが短いとも言われています。欧米はホームパーティー文化が強く、人を家に招くことが多いんですね。そのため、インテリアを季節によって変えるといった感じで、割と頻繁に家具を買い替える文化があるんです。マットレスも同様ですね。一方で、日本では家具を「一生もの」と考える傾向があり、耐久性を重視する考えが強いですね。

──確かに日本ではすぐ買い替えるイメージはないですね。

合谷さん:買い替えの文化がないので、最新のマットレス事情に触れること自体が少なく、一昔前の認識からアップデートがなかなかされないんです。そのため、いまだにウレタンに対して「耐久性が低い」とか「すぐへたってしまう」みたいなイメージを持たれているんだと思います。

──でもウレタンもどんどん進化をしていっているんですよね。

合谷さん:はい。素材や技術は毎年進化していて、ウレタン製品の耐久性もかなり向上しています。もちろんコイル系のマットレスと比べてしまうと耐久性は落ちる部分はあるものの、リムネでは人が寝返りをする10年分の8万回の耐久性試験を行っており、耐久性も優れたものも出てきています。長期保証をつけている他のウレタンマットレスブランドも増えてきています。

──10年保証だと「耐久性が低い」とは言えないですね!どんどん進化を遂げているのですね。

寝姿勢が悪くなるは勘違い?NEWウレタンマットレスの進化

──進化が進んでいるウレタンマットレスですが、メリットやデメリットについてもお伺いしたいです。

合谷さん:かつては寝姿勢が悪くなりやすい、寝返りがしにくい、耐久性が低い、通気性が悪いといった課題がありました。ですが、これも一昔前の話で、技術の進化で解消されていっています。とくに寝姿勢の問題は解消されていると思います。

一方でやはり特徴的なのは寝心地のよさですよね。包み込むような感覚っていうのはありましたね。

──理想の寝姿勢というのはどのような姿勢になるとよいのでしょうか?

合谷さん:Limneが定義する理想の寝姿勢は、立った状態での姿勢が横になって寝た状態でもキープされている状態です。つまり自然なS字カーブを横にした形なので、肩やお尻といった身体の出っ張った部分に沿ってマットレスも曲線を描いてる状態が一番よいんです。

──一昔前のウレタンというと低反発のもののイメージがあるのですが、どうなのでしょうか?

合谷さん:低反発ものはどうしても身体が沈み込んでしまい、反発がないので、腰の部分が湾曲しすぎてしまい、負担がかかったり痛みが出たりというのがありました。これは硬すぎるマットレスでも同様なのですが、肩やお尻といった身体の出っ張った部分に圧が集中してしまってよくないんです。論文でも床ずれのリスクが高まるとまで言われていますね。

──これまでのウレタンマットレスの課題点など踏まえて、御社ではどのような特徴のマットレスを作られたのでしょうか?

合谷さん:はい、弊社のマットレスは3層構造になっており層下2層はほぼ従来型のウレタンをベースに、3種類の密度などが異なる層を重ねて作られています。とくに一番上の2.5センチの層には高反発素材のLimneマットレスを製造するメーカーの独自開発素材「Souffair(スフエアー)」を採用しているのが特徴です。

──とにかくふわふわなウレタンなのですよね。

合谷さん:ウレタンの中でも最も柔らかい「スーパーソフト」というものがあって、ソファーの肘起きなどで使われるくらいでマットレスには使われてこなかったんです。ですが、この柔らかさを持ちつつも、高密度に発泡させることで、柔らかさと耐久性、反発性を兼ね備えています。

──ミドル層でも何か工夫が施されているのでしょうか?

合谷さん:深さと間隔の違う溝を掘っていく、つまり溝加工によって肩とかお尻、かかとの部分みたいな身体の出っ張った部分を包み込むように作っています。寝姿勢が綺麗なS字曲線を描けるような構造をしていますね。

──なるほど、これが身体の出っ張った部分に沿うはたらきをするのですね。

合谷さん:その通りです。ただそれでも沈み込みすぎないのがポイントなので、何度もテストを繰り返していまの深さにたどりつきました。

──ふわふわ感を守りつつも、従来のウレタンのデメリットをクリアしたのですね!

合谷さんそうなんです。柔らかいと反発性が弱い、身体が沈み込みすぎるなどといった部分も解消し、適度に身体を支えながら圧力を分散する理想的な寝心地を実現しているんです。

──「Souffair(スフエアー)」の開発にはどのくらいの時間がかかったのでしょうか?

合谷さん:開発には約半年ほどかかりましたね。弊社は自社で工場を持っているわけではないので、メーカーと協力しながら、素材の厚さや配置を細かく調整して完成させました。メーカーさんの独自技術を活かし、マットレスに最適化した形ですね。

とくに通気性に関しては、メーカー独自の技術力によるもので、海外メーカーでは再現できなかったんです。

夜ベッドに入るのが楽しみか?それもひとつの基準

──ウレタンマットレスの進化を感じました。マットレス選びで大切なことは何だと考えていらっしゃいますか?

合谷さん:一番大切なのは、自分の身体に本当に合っているかどうかだと思います。ただ、それを基準で判断するのは難しいですよね。私の考えでは、「夜ベッドに入るのが楽しみになるかどうか」が1つの基準になると思っています。

──「夜ベッドに入るのが楽しみになるかどうか」ですか。面白い視点ですね!

合谷さん:マットレスは人生で毎日使うものですから、「今日もこのベッドで寝られるんだ!」という幸せを感じられるかどうかって大事だなって思っていて。マットレスって1日2日使ってみたところで、正直本当に合っているか分からないんですよ。

──たしかに、1日2日では本当に自分にぴったりなのかってなんとも言えないですよね。

合谷さん:短期間ではなく、最低でも2週間、できれば1カ月程度使用してみて、自分に合うかどうか確かめていただきたいです。そのマットレスが自分に合っていて身体に負担を感じることなく、さらに気持ちよさでしたり快適さみたいなのがあれば、毎日夜寝るのが「楽しみ」や「幸せ」になると思います。そういったことも基準に選んでほしいと思っています。

──なるほど、その観点で選ぶなんていままで考えたことありませんでした!

合谷さん:やはり寝てみないとわからないですし、大事なものなので寝てみてほしいですね。「新素材」や「NASAでも使用」などの宣伝文句は魅力的に聞こえてしまいますが、「なんかよさそう」だけで商品のよさや自分の身体に合うかどうかをちゃんと理解せずに選ぶのは避けてほしいです。

──もっと商品について自分で知りに行く必要もありますね。

合谷さん:まずはお店の店員さんにしっかりヒアリングをして、自分が求める寝心地や体に合うものを確認してみてください。情報を調べて、素材や構造について納得してから選ぶようにするのも大事です。購入後も何日か使ってみて、身体に合ってるかどうか、実際に使ってみて感じてください。

──実際に御社のマットレスを使ってみた方のお声などありますか?

合谷さん:私たちのオフィスは恵比寿ガーデンプレイスのショールームに併設していることもあり、実際にマットレスに触ってみた方のお声がたくさん聞こえてくるんです。大体は「これやばい!」「すごくいい!」といったお声で、実際に寝てしまう方もいらっしゃるんです。

──すぐそこで聞こえてくると作り手側としても嬉しいですね。

合谷さん:オンラインでの発信だけではなく、今後もこうした触れる場所を増やして、このマットレスのよさを伝えていきたいですね。現在もオンラインのほかにいくつか店舗があるのですが、増やしていく予定です!

ベッド空間でオン・オフを切り替える

──「よい睡眠」に対してのお考えを教えてください。

合谷さん:もともと、私がLimneを立ち上げた経緯は、前職で体調を崩した経験からだったんです。とにかく忙しくて今日と明日の境界線がなかったんです。現代社会って、インターネットがあり、スマートフォンがあり、よい意味でも悪い意味でも、いつ誰とでもつながり続けちゃう。いろいろな意味で境界線がない、オンとオフの境目がない。きっと同じように感じている方も多いと思います。

──そうですね。どこかと常につながっていることで疲れてしまっていますよね。かと言ってうまく切り離せないというか。

合谷さん:そうなんです。そこで、このオンとオフのスイッチを私たちのマットレスで寝た瞬間に切り替えられるような「境界線」になりたいというと思ったんです。

──なるほど、確かにいつも緊張が抜けないというか、寝ているのにどこか完全にオフにはなっていないというかそういう自覚があります。

合谷さん:ですよね。なのでLimneのマットレスでは、寝た瞬間に「強制的にオフ」になれる寝心地を追求しているんです。疲れを取るだけでなく、心をリフレッシュし、スイッチを切り替える感覚を提供したいという思いが込められています。

──マットレスでオンオフという視点、とてもおもしろいです!

合谷さん:ありがとうございます。Limneのマットレスは、横になった瞬間に「幸せ」な気持ちになれるような寝心地だと思っています!

Wellulu編集後記:
今回の取材で印象的だったのは、「夜ベッドに入るのが楽しくなるかどうか」というマットレス選びの基準です。従来の「硬さ」や「素材」などのスペックだけでなく、使う人が感じる「幸せ」や「快適さ」が、睡眠の質に直結するという考え方に共感しました。また、日本と海外の寝具文化の違いにも驚きがありました。特に、欧米では家具や寝具を頻繁に買い替えることで、最新の技術や快適性を取り入れている点は、新しい価値観として学びがありました。一方、日本の「一生もの」としての寝具への愛着も大切な文化だと感じます。ただ、日常のストレスをリセットし、翌日に向けての活力をチャージするために、理想の寝具を探してみるのもよいかもしれません。

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